ストレス←過食←生理不順←大人のニキビ
ここからは、実際に私が診察した女性の例をいくつかご紹介しましょう。典型的な大人のニキ
ビの症例であるケース@のAさんをベースに、個々の症例の特性をあげて、具体的な治療法とス
キンケア法のアドバイスも示しました。
秘書検定一級の資格を持ち、仕事をてきぱきこなすAさん。彼女がはじめて診察室を訪れたと
き、その容姿に、顔中に広がる真っ赤なニキビだけが不釣り合いな印象を受けました。また、そ
のことをどれほどAさんが気に病んでいるか、沈んだ表情から痛いほどに伝わってきたのです。
ニキビができはじめたのは一年ほど前。Aさんが現在の部署に異動になり、しばらくたってか
らのことだと言います。その部署には、回うるさいうえに、仕事上のミスはすべて後輩に押しつ
けるという、最悪の先輩がいたそうです。Aさん自身、先輩のミスを自分のせいにされたことが
3 七つのケーススタディでわかるニキビ医療の実際
度々あり、それでいて偉ぶる態度に腹が立ち、だんだんと会社に行くのが憂鬱になってきたと
か。その先輩の顔を見るだけで嫌悪感でいっぱいになり、気分が悪くなってくるからです。
あるとき、Aさんのあごに、急に大きなニキビができはじめました。思春期を含め、ニキビで
悩まされたことがなかったのにもかかわらずです。同時に、それまで順調だった生理が狂いがち
になってきました。そうこうする間に、ニキビはどんどん悪化していきます。不安になったAさ
んは、原因が婦人科系の疾患にあるのではないかと思い、まず婦人科で診察を受けました。で
も、結果は異常なし。いまは生理の周期を整える薬を処方してもらっているそうです。
結局、 ニキビは一向によくならず、解決策を求めて、訪れたのが私のところでした。Aさんは
コメドと赤く腫れたニキビが混在した典型的な大人のニキビ。できはじめてから時間がたってい
たこともあり、すでにニキビ痕もちらほら見られます。彼女がもっとも気にしていたのは、ニキ
ビ痕の色素沈着が消えなくなったり、皮膚が陥没して凹凸が増えてしまうのではないかというこ
とでした。
聞けば、ストレスが増えたのと同時に、帰宅してから、夕飯とは別に深夜に甘いものを毎日の
ように食べる習慣がつき、それは現在も続いていると言います。Aさんのニキビを治すには、ス
トレスの問題、それにまつわる生活習慣の改善、治療とそれをサポートするスキンケアの三本の
柱が必要でした。そこで、まず、ストレスがニキビの発症と深い関わりを持っていることを説明
し、理解してもらうところからはじめました。

 

フェイスラインを中心に、ほお、首にもコメドと赤く腫れたニキビが混在する典型的な大人の
ニキビ。すでに陥没したニキビ痕も見られました。

 

ニキビを治すことと同時に、これ以上ニキビ痕や色素沈着を増やさないことがAさんの希望で
あったため、本人と相談したうえで、薬を使った治療と並行して、最初からケミカルピーリング
を導入する積極的な方法を選びました。赤いニキビが繰り返しできて、ニキビの活動性が高いと
きは、傷んだ毛穴周囲の組織を修復しようとする皮膚の働きも高まるため、ケミカルピーリング
の効果も上がりやすいのです。また、陥没したニキビ痕も、あまり重症でない場合は浅く目立た
なくすることができます。また、 ニキビを気にして触ってしまうとニキビを悪化させ、痕にもな
りやすいのでやめること、毎日口にしている甘いものを控えることもお願いしました。